「身元引受人」「身元保証人」「連帯保証人」の違いとは?
病院への入院や施設への入所・入居の際に、「身元引受人」や「身元保証人」、「連帯保証人」といった欄があり、親族に対してこれらへの就任をお願いしないといけない場面があると思います。
お願いするにしても、何をお願いして、どのような場合に、どのような責任を負うのかが分からないと、頼みようがないですよね。
この3つの言葉は、似たような意味があったり、一部では重複していたり、法律的に考えると明確な違いがあったりして、非常に混同しがちで、間違った認識を持ってしまうことが多いようです。
以下に、「身元引受人」「身元保証人」「連帯保証人」の違いについて、役割や責任の範囲について、わかりやすく解説しますので、親族に契約書へのサインをお願いする前に、これらの言葉の意味をしっかりと把握するようにしましょう。

意味の違い
身元引受人
- 役割: 本人を支援し、緊急時や問題発生時に本人に代わって対応する人。
- 目的: 主に道義的責任を果たし、本人をサポートする役割。
- 責任の範囲: 法的責任は基本的に負わず、本人の生活や行動に問題が起きた場合の緊急連絡先や助け舟的な役割を担う。
- 例:
o 介護施設や病院への入所・入院手続き時の保証。
o 本人が事故やトラブルに巻き込まれた場合の対応。
身元保証人
- 役割: 本人の義務や契約(主に雇用や賃貸)の履行を保証する人。
- 目的: 本人が契約を守らなかった場合に、損害を保証する。
- 責任の範囲: 本人が義務を履行しなかった場合に法的責任を負う。ただし、保証範囲は契約内容による(期限や金額の上限などが設定されることが多い)。
- 例:
o 雇用契約時の身元保証。
o 賃貸契約で借主が家賃を滞納した際の補填。
連帯保証人
- 役割: 本人と同等の責任を負い、本人が義務を履行しない場合に直接的に義務を果たす人。
- 目的: 本人と同じ立場で契約を保証し、債権者(貸主や雇用主など)に対する保障を提供する。
- 責任の範囲:
o 極めて重い法的責任を負う。
o 債権者は本人に請求する前に連帯保証人に直接請求可能。
o 保証範囲は契約内容に基づくが、本人が履行しない限り、連帯保証人が全面的に責任を取る必要がある。 - 例:
o 金銭消費貸借契約(ローンや借金など)の連帯保証。
o 高額賃貸物件契約における連帯保証。
主な違いのまとめ
| 項目 | 身元引受人 | 身元保証人 | 連帯保証人 |
|---|---|---|---|
| 目的 | 本人を支援・サポートする | 本人の契約義務を保証する | 本人と同等の責任を負う |
| 責任の範囲 | 道義的責任(法的責任は負わない) | 法的責任(契約範囲内で限定的) | 極めて重い法的責任(本人と同等) |
| 関わる場面 | 入院、介護施設入所、緊急時対応など | 雇用、賃貸契約など | ローン、借金、高額契約など |
| 請求の順序 | 請求されることはない | 本人が義務を果たさなかった場合 | 債権者は本人を飛ばして直接請求可能 |
注意点
- 身元引受人は道義的責任に限られるため、法的な責任を問われることは少ないですが、しっかりと内容を理解して引き受ける必要があります。
- 身元保証人は保証範囲を契約書で明確にすることが重要です。極度額の設定についても確認し、無制限の責任を負うことのないよう注意しましょう。
- 連帯保証人は最も重い責任を負うため、引き受ける場合には極めて慎重になるべきです。契約内容やリスクを十分に確認してください。
法律における規定
次に、これらの役割のリスクを明確するために、法律における規定等を確認しておきましょう。
「身元引受人」「身元保証人」「連帯保証人」の法的根拠について、以下にそれぞれ説明します。これらは法的には異なる役割を持ち、それぞれの責任や義務が法律で基づいて定められています。
身元引受人の法的根拠
- 法的背景: 身元引受人に関する明確な法的規定はありません。これは、主に道義的な責任を前提としており、法的な強制力を伴う契約ではないためです。
- 根拠となる場面: 医療機関、介護施設、福祉施設などで入所や入院時に求められることが多く、契約書や誓約書に記載されることがありますが、これらは通常、道義的な支援や緊急連絡先を目的としています。
- 法的責任: 基本的には本人の代理人や保証人とは異なり、法的責任を負わないケースがほとんどです。ただし、個別の契約内容や施設の規定により、一部の義務を引き受ける場合があります。
身元保証人の法的根拠
- 法的根拠:
身元保証契約については、日本の民法第446条~460条(保証契約)に基づきます。これらの条文は保証契約全般に適用されますが、特に身元保証契約については、一部が「身元保証に関する法律」を参考にしながら適用されます。
o 身元保証に関する法律(昭和八年法律第四十二号)は、主に雇用の場面で適用され、労働者の身元保証人との間の身元保証契約の期間、範囲、解除の条件などについて規定しています。 - 主な規定:
o 契約の有効期間は原則として最長5年(特約がある場合を除く)。
o 身元保証人の責任は契約で定めた範囲に限定される。
o 雇用主が本人の問題を認識した際、保証人に通知する義務がある。通知を怠ると、保証人の責任が軽減される可能性がある。 - 法的責任: 身元保証人は、契約で定められた範囲内で本人の行為に対して責任を負います。特に労働や賃貸契約で多く利用されています。
連帯保証人の法的根拠
- 法的根拠:
連帯保証人に関する規定は、民法第454条(連帯債務)および第465条~第465条の11(保証契約)に基づきます。 - 主な規定:
o 連帯の責任: 連帯保証人は、主たる債務者(本人)と同等の責任を負います(民法第454条)。
o 債権者の権利: 債権者は、本人に請求する前に連帯保証人に直接請求することができます(催告の抗弁権や検索の抗弁権がない)。
o 保証契約の形式: 連帯保証契約は原則として書面または電磁的記録による必要があります(民法第446条)。 - 法的責任: 連帯保証人は、本人が債務を履行しない場合、全額について弁済義務を負います。この責任は極めて重いものです。
法的根拠の比較
| 項目 | 身元引受人 | 身元保証人 | 連帯保証人 |
|---|---|---|---|
| 法的根拠 | 明確な法規定なし | 身元保証に関する法律、民法 | 民法第454条および第465条~第465条の11 |
| 責任の範囲 | 道義的責任(契約内容次第) | 契約範囲内の保証責任を負う | 主債務者と同等の責任を負う |
| 特徴 | 緊急連絡先・生活支援の役割 | 一定範囲での保証義務が発生 | 催告なしで直接請求される |
注意点
- 身元引受人: 施設や医療機関からの依頼に応じる際、契約内容を確認し、法的責任が含まれていないか確認することが重要です。
- 身元保証人: 「身元保証に関する法律」に基づき、保証の範囲や期間、極度額を明確にする必要があります。
- 連帯保証人: 連帯保証契約は特に慎重に検討する必要があり、弁護士などの専門家に相談することが推奨されます。
2017年5月に成立した「民法の一部を改正する法律」が2020年4月1日から施行され、介護施設への入居時の保証のような、事前にどれだけの金額の債務を保証するのかが分からない契約(根保証契約といいます)では、極度額(上限額)の定めのない保証契約は無効となりますので、「〇〇円」などと明確に文書で定められていることを確認しましょう。
投稿者プロフィール

- カウンセラー資格を持つ「寄り添い型」行政書士
- 生活保護や身元保証に関する経験や知識を用い、依頼主様によりそい、身寄りのないお年寄り、生活が不自由な方が、少しでも幸せな生活を送ることができるようお手伝いをさせていただきます。
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